修正申告の強要
税務調査の対応で知っておいて欲しいことは、調査官の指摘に対して納得していないのであれば、
絶対に修正申告書に捺印・サインして提出していないことです。
当り前のようなことですが、これがなかなか実行されないのも事実なのです。
税務調査で誤りが見つかり、会社として「確かに間違っているよな」と思うのであれば、
修正申告を提出すればいいのです。
実際に間違っているのですが、間違いは間違いで認めればいいのです。
しかし、調査官の指摘に対して、
「これは間違っているのではない!」「それは見解の相違だろう」と思うのであれば、
徹底してその主張をすることです。
税務調査の結末は、3つのパターンがあります。
①誤りなどがなかった場合:申告是認(しんこくぜにん)
②誤りがあって納得している場合:修正申告の提出
③調査官に誤りだと指摘されたが納得できない場合:(税務署による)更正処分
①は問題がないとして、②と③に何の違いもありません。
③は「更正処分」という言葉なので、何か悪いことをして「処分される」ようなイメージを持たれるかもしれませんが、
更正処分を受けたからといって、税金の額が増えたり、その後税務調査に何度も入られたりするようなことは一切ありません。
税務調査というと、予定調和的に修正申告を提出するものだと思っている経営者の方もいるのですが、
決してそうではないということです。
しかし、現実的な話をすると、我々税理士がいるにもかかわらず、税務調査で修正申告を提出しない態度を示すと、
高圧的な態度になる調査官もいますし、タチの悪い調査官になると、我々税理士がいないことを狙って、会社に直接連絡してきて、
「今から少しでいいので時間をください」と要請してくるケースもあります。
納得していないのであれば、調査官の口車にのって修正申告を提出してしまえば、
いかに税理士といえども、どうにもできない状況になるのです。
絶対にこの対応は覚えておいてほしいものです。
税務調査で調査官の否認指摘に対して納得していない
→納得していないので修正申告を出さないと伝える
→修正申告しないと大変なことになると「脅し」てくる調査官もいます
具体的にどんな脅しかというと、ほとんどは3つのパターンに分かれます。
①「修正申告しないと税金が増えますよ!」
これは明らかなウソです。前回でも書いているように、修正申告であっても更正になったとしても、税金の額が増えたりすることはありません。
②「細かいことまで調べることになるので税務調査が長引きますよ!」
実際に、修正申告を提出しない態度を示すだけで、延々と税務調査をしようとする調査官がいます。税務調査が長引くことで「もういいよ・・・」と経営者があきらめるのを待っているのです。
③「取引先のところに反面調査に行きますよ!」
取引先に対して反面調査を行うことで、会社の信用を失墜させようとする行為での脅しです。反面調査は脅しの手段ではないため、反論・抗議することが可能です。
そもそも、なぜこのような「脅し」の言葉を吐いてまで調査官が修正申告を「強要」してくるかというと、
調査官にとって更正処分するのは非常に面倒だからなのです。
税務調査の結末が修正申告ということになれば、会社(経営者)納得しているのですから、その後面倒なことにはなりません。
また、修正申告は会社が自主的に行うものですので、提出された修正申告書を税務署で処理すればそれで終わりです。
しかし、更正処分ということなると、税務署から会社に対する処分ですから、
処分するための根拠・証拠をそろえなければなりません。
また、更正処分は税務署長名で行われる法律行為ですから、税務署長の決裁まで必要とされており、
調査官としては手続きだけでも非常に面倒なのです。
もちろん、修正申告でも更正処分でも、調査官のノルマや評価はまったく同じです。
修正申告してほしいのは、実は調査官なのです。
だからこそ強要までしてくるというわけです。変な脅しには絶対に屈しないでください。